ヒアルロン酸 プチ整形がプライスダウン
N総合研究所の調べによると、80年代後半、都長銀、信託銀行は高株価を利用して大規模なエクイティファイナンスをおこなったが、同じ期間にそれを上回る規模で政策保有株式投資を増大させていた。
転換社債やワラント債も含めた時価発行によるエクイテイファイナンスに関しでも、従来の企業との聞の株式相互保有の枠組みの中で、メインパンクを中心とする大銀行が、株主資本提供のラストリゾートになっていたのである。
時価発行増資の普及は、銀行や生保などの安定株主にとっては簿価ベースの平均投資元本額を急速に引き上げる一方、配当はといえば付属資料2に示されるように、きわめて固定的であった。
つまり、メインパンク制度のもとで事実上「残余リスク」を持たない優先株的なこれら有名大企業の株価が、ハイリスク・ハイリターンの純粋な時価発行企業の株価と同様な評価を受けるようになってしまったのである。
このため、特に配当利回りに依存する生保等にとって、時価発行増資の普及にともなう株式ポートフォリオの運用効率の急速な悪化は、深刻な問題になっていった。
時価発行増資の持つこのような矛盾を、伝統的な株式保有構造の中で解決する方策として始まったのが、いわゆる「時価発行増資の自主還元ルール」(正式には「利益配分ルール」)制度であった。
時価発行増資の「利益配分ルール」は、時価発行増資を何とか額面発行、安定配当制度の枠組みの中へ取り込もうとする試みであったといえよう。
しかし、時価ベースのファイナンスがますます盛んになるにつれ、平均簿価ベースの配当利回りは着実に低下し続けた。
このため、生保や信託の純投資のパフォーマンス競争が激しくなり、その矛盾は覆いがたいものになっていった。
生保や信託ほど株式投資のリターンを間われないメインパンクにとっても、増資に応じるに従って平均簿価が着実に上昇する時価発行への移行は、株式投資のコスト50円を想定した戦後の枠組みの大幅な変更であった。
とりわけ含み益を重視する大株主としては、時価発行増資は限界的には含み益ゼロの株式投資を意味した。
時価発行による平均簿価の上昇傾向のもとで元本リスクを回避したいという、大株主としてのメインパンクの持つ基本的要請に、より本格的に応えたのが、いわゆる「右上がり」相場の形成であった。
右上がり相場のもとでは、一定期間以上安定保有すれば元本割れが起こらないため、メインパンクを含めた安定株主が安心して時価発行増資に応じられたのである。
額面発行時代には、株式をいわば額面による株主優先募入権(オプション)付き疑似確定利付証券として位置づけることによって、矛盾を解決した。
これに対して時価発行移行後は、右上がり相場によって事実上株式を「コール・オプション」化することによって、間接金融システムの要請を満たそうとしたのである。
3、2コール・オプション的株価形成とその背景。
他ならぬ有限責任の原則によって、その損失の上限が投資額に限られるという意味で、普通株も広い意味ではオプション証券のっと考えられる。
したがって、よく発達した株式市場では、一般に株価の短期の変動は近似的に正規分布に従うが、より長期の変動は対数正規分布に従うことが知られている。
いずれにしても、かなりの確率で負の価格変化が起こりうることが、株式を保有する場合のリスクの根源である。
しかし、前述のように、わが国の伝統的な金融システムのもとでは、投資元本の目減りを許容できない大手商業銀行を最大の株主としてきたため、一報告期間(通常12カ月)以上保有した場合の元本リスクが有効にヘツジされていることが、株式安定保有の絶対条件であった。
割高なら売り、割安なら買うことを前提とするアメリカ的な純投資の世界では、リターンの期待値からのふれを投資の第一義的なリスクとして重視し、元本リスクは二義的な重要性しか持たないのと対照的である。
わが国では、経験的に株式を3年持てば元本リスクはないと、よくいわれた。
実際、図244に示されるように、1980年代末までは、そのような傾向が強くみられた。
わが国の株式投信の主流であったスポット型投信の多くが2年据え置き(解約禁止)条項をつけていたのも、経験的に2年保有すれば元本リスクはほとんどなくなり、確定利付商品よりかなり高いリターンが期待できる、コール・オプション的な魅力を強調したものであった。
筆者は、投資期間として6カ月、12カ月、24カ月をとり、1974年1月から89年12月まで毎月初めに株式市場インデックスを機械的に購入するという、パイ・アンド・ホールド投資の年平均投資価値の騰落率パフォーマンスを日米で比較してみた。
その結果、わが国では投資期間が12カ月以上になると、元本リスクはほぼ完壁にへッジされていたことがわかった。
そして保有期間を24カ月にのばした場合には、156回の投資のうち元本割れのケースはゼロになっていた。
アメリカの場合にも、もちろん投資期聞が長くなるにつれて、いわゆる正の歪度(ポジテイブ・スキューネス)が出てくる。
それでも、24カ月保有の場合にはマイナスの価格変化は156回のうち20回、36カ月保有した場合でもマイナスの価格変化が6回観測された。
このように、この期間のわが国の株式投資は投資期間24カ月で完全なコール・オプションの性格を持ち、しかもアメリカよりかなりハイリターンの投資となっていたのである。
1970年代半ばから89年にかけて、このような株価のコール・オプション性をもたらした要因を網羅することは難しい。
しかし、それは基本的にはインフレや金利水準、あるいは失業率を低水準に維持し、企業の低収益戦略を支持し、マクロの高成長をサポートした、わが国の戦後経済・金融システムのピルトイン・スタピライザーの多くがかかわっていると考えられる。
その主なものとして、(1)上場大企業は原則として倒産させないというシステムとしてのコンセンサス、(2)企業の業績が悪化したとき、純投資家として売り逃げるのではなく、むしろ経営に介入し、立て直しにコミットするメインパンクの存在、(3)アメリカのようにスペシャリスト個人ではなく資力の大きい総合証券会社をフロアメンバーとするわが国の証券取引所制度、(4洛良行の大口株式売買はクロス売買で処理する株価安定化の仕組み、(5)株価下落時の公式、非公式の買い支え、売り控えの指導・実施、(6)株価指数先物、オプションのような株式市場に対して組織的に裁定をおこなう手段の欠如、などが指摘できる。
3、3経常利益総額の成長を重視した美人投票。
標準的な株価理論のもとでは、一般にJOEが低下すれば、配当の期待成長率を推定するフアンダメンタルな根拠となる内部成長率(JOEx(1配当性向)が低下するため、株価(PE「)は下落することになる。
ところが、図241(2)に示すように、わが国の企業の株主資本利益率(「0E)が趨勢的に低下するなかで、これに反する形で株価がほぼ15年にわたり一貫して上昇してきた(いわゆる右上がり相場の形成)。
その背景を考えてみたい。
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